大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和35(オ)1462 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人等の負担とする。

理 由

上告代理人林百郎の上告理由第一点について。

記録に徴するときは、上告人等代理人は、原審口頭弁論において上告人等の主張

に関する第一審判決事実摘示の通り第一審口頭弁論の結果を陳述したほか、昭和三

三年一〇月二〇日附準備書面に基き陳述したのみであつて、所論昭和三二年九月五

日附準備書面に基き陳述したこと及び所論賃貸借或は使用貸借を主張したことは、

その事跡を見出し得ない。しかも、右昭和三三年一○月二〇日附準備書面には、所

論の如き賃貸借或は使用貸借に関する記述がない。されば、上告人等が原審におい

て右賃貸借或は使用貸借を主張したとのことを前提とする論旨は、その前提におい

て既に失当である。

論旨は、これを採用し得ない。

同第二点について。

原判決によれば、原審は、訴外Dと上告人Aとの間に、昭和二九年七月三〇日以

降において本件不動産の買戻期限を猶予する約束のなかつた事実、上告人Aは、本

件不動産をその買戻期限である昭和二九年七月三〇日までに買戻ささかつたので、

訴外Dは、本件不動産を他に売却することに決し、同年九月三〇日被上告人にこれ

を売却し、同年一一月二七日その所有権移転登記を経由したものであるとの事実を

認定した上、右訴外Dが右上告人Aの窮迫、無経験に乗じて専ら自己の利益を図る

ために本件不動産売却の挙に出たものであるとのことは、上告人等の全立証を以つ

てしてもこれを認定し得ない旨判断して居る。この事実上の判断は、これを是認し

得る。また、調停前の措置としての不動産処分禁止の命令は、これに違反した行為

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があつたとしても、その行為の効力の発生を妨げるものでないこと固よりであるの

みならず、不動産の処分禁止の仮処分決定は、その登記経由後の不動産処分を禁ず

るに過ぎないから、所論仮処分決定につき登記の経由せられるに先立ち、右訴外D

より被上告人に対してなされた本件不動産の所有権移転の効力に、所論仮処分決定

が何等消長を及ぼすものでない。されば以上と同趣旨に出た原判決に、所論の違法

はない。

論旨は、理由がない。

同第三点について。

記録によれば、昭和三五年七月一三日の原審最終口頭弁論期日において、上告人

等は、立証として東京高等裁判所昭和三二年(ネ)第一五九六号事件の昭和三五年

七月一三日の証人E証言調書を乙一七号証として提出したことを確め得る外証人E

の訊問を申請した事跡を見出し得ない。しかも原審は、所論買戻期限猶予に対する

立証としては、同証を採用し得ない旨判断して居ること、原判文上明かであり、ま

た原判決中、原審においてなされなかつた同証人の証言に対する判断が示されなか

つたことは、当然である。されば原判決に所論の違法はない。

論旨は、理由がない。

同第四点について。

論旨は、違憲をも云為するけれども、その実質は、結局単なる法令違反の主張に

帰するのであつて、その理由のないことは、前記上告理由第二点に対する説明によ

って領解すべきである。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

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裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

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